受動輸送,能動輸送
ニュー子先生、質問があります。
どうしたのじゃ?
前の講義中、能動輸送(のうどうゆそう)とか受動輸送(じゅどうゆそう)っていう言葉が出てきたじゃないですか?
具体的に何のことを言っているのかわからなかったので質問しました。
確かに。輸送方法についてまとめたことはなかったの。
よかろう!今日は能動輸送と受動輸送についての解説していく!
心して聞くのじゃ!
お願いします!
能動輸送と受動輸送
そもそもお主、能動輸送と受動輸送の違いはわかっておるか?
全くわかりません。
そもそも能動輸送、受動輸送って何なんですか?
ふむ。どちらも運搬方法のことを指しているのじゃ。
運搬方法ですか?
そうじゃ。濃度が濃い方から薄い方への、エネルギー(ATP)を必要としない運搬方法を受動輸送
そして濃度が薄い方から濃い方への、運搬時にエネルギー(ATP)を必要とする運搬方法を能動輸送と呼んでいるのじゃ。
いまいちよくわかってないです。
ふむ。よく使われる例えとして坂道がある。
坂道ですか?
濃度勾配(のうどこうばい)に従って、高い方から低い方へ移動するからエネルギーが不要な受動輸送
濃度勾配に逆らって、低い方から高い方へ移動するからエネルギーを必要とする能動輸送、といったところじゃな。
少しイメージできたと思います。
ふむ。まずは受動輸送から解説していく。
違いはエネルギー(ATP)を必要とするかどうか
受動輸送
まずは受動輸送の解説から始める。
お願いします!
早速なのじゃが、セルの助が友達に送りたい動画があったとする。
お主ならこの動画をイソスタとロインどっちで送る?
ツイッパーです。
(今時の若者は、、、)
よかろう。では仮にイソスタが速度制限を気にせずに動画を送れるとしたらどうする?
それならイソスタで送ります。
そういうことじゃ。
ほへ?
ここで理解してほしいのはこの例えの場合
イソスタだけ動画を送るためのコスト、つまりエネルギー(ATP)が不要ということなのじゃ。
人体においても同じようにエネルギー(ATP)が不要な運搬方法がある。
それを受動輸送と呼ぶのじゃ。
おお!
具体的には拡散、浸透、ろ過などが受動輸送に該当する。
急に言葉が難しくなりました。
そんなに難しく考えなくて大丈夫じゃ。
拡散はコーヒーに入れたミルクが時間と共に全体に広がっていく現象のことじゃな。
少しわかった気がします。
よろしい。これらをまとめて受動輸送と呼んでいるということじゃな。
少しイメージできたと思います。
よろしい。次に能動輸送の説明をしていく。
はい!
受動輸送は拡散、浸透、ろ過の3つを覚える
能動輸送
能動輸送は物質を移動する際にエネルギー(ATP)を必要とする輸送方法じゃ。
先程の動画送信の例えでいえば、ロインとツイッパーがエネルギー(ATP)を必要とするため能動輸送となる。
受動輸送が濃度が濃い方から薄い方への移動だったのに対して
濃度が薄い方から濃い方への移動になるのじゃ。
冒頭でも触れたが、ちょうど坂道を登るように濃度に逆らって移動している形じゃな。
何となくイメージできます。
能動輸送で必ず押さえて欲しいのがナトリウムポンプじゃ。
ナトリウムポンプ?
言葉は難しそうじゃが、これは細胞膜に埋め込まれた門(もん)だと思って欲しい。
扉ですか?
そうじゃ。セルの助は夏場に塩分を取れと言われたことはあるかの?
あります。
実は細胞の中にも外にもナトリウムやカリウムといった塩などに含まれる無機塩類(むきえんるい)が存在しているのじゃ。
無機塩類と言わずに、ミネラルと言った方がしっくりくるかの。
そっちの方がイメージしやすいです。
ふむ。塩分を摂るのはミネラルを身体にミネラルを補充するためじゃな。
どうしてミネラルが体内にあるんですか?
良い質問じゃ。
その答えは身体を動かすため、じゃな。
そんなに大切なんですか?
そうじゃ。細胞が最初に動く時、電気を発生させているのじゃ。
そしてその電気を発生させるために、大量のナトリウムが細胞外から細胞内になだれこんでくるのじゃ。
ナトリウムって強引なんですね。
そうじゃな。しかしこのナトリウムの移動がなかったら細胞は動けないのじゃ。
つまり生命に関わるということじゃな。
恐ろしいです。
問題はそのあとじゃ。神経細胞が働いた後、ナトリウム達を細胞の外という本来の位置に戻してやらねばならんのじゃ。
ところがナトリウムはミネラルだから自分から動くことはない。
故に何もしなければそのまま細胞の中に居座り続けることになる。
そのままじゃダメなんですか?
ここでよろしくないのが、このままだと次に細胞が動くためのナトリウムがいなくなってしまうことじゃ。
つまりナトリウムを外に出さなければ生命に関わるというわけじゃな。
それは良くないですね。
そうじゃ。そしてここで役に立つのが細胞膜に埋め込まれたナトリウムポンプじゃ。
ナトリウムポンプがナトリウムを細胞の中から外に戻す働きをしてくれるのじゃ。
ナトリウムポンプという門を通ってナトリウムが細胞の外に戻っていくというわけじゃな。
厳密にはナトリウムが外に出る際にカリウムを細胞内に戻すのじゃが今回は気にしなくてよい。
ここで能動輸送に話が戻るのじゃが
ナトリウムを外に出す際にエネルギー(ATP)が必要になるのじゃ。
話が長くなってしまったが、ここではナトリウムポンプが能動輸送ということを理解してくれればよいぞ。
難しいですけど、少しイメージできた気がします。
そうじゃな。ここでは将来的な勉強内容も含めてナトリウムポンプという輸送方法を覚えておいて欲しいものじゃな。
わかりました!
それぞれの吹き出しをタップすると講義を開けるようになっておるから、忘れているようならチェックしておくのじゃぞ。
はい!
能動輸送はナトリウムポンプ、エンドサイトーシス、エクソサイトーシスを覚える
まとめ
今回はいつもより知識が多かったからの。最後に今日のまとめをして終わりする。
お願いします!
まず受動輸送と能動輸送の違いはエネルギー(ATP)を必要とするかしないかじゃ。
そして代表的な受動輸送として拡散、浸透、ろ過
反対に代表的な能動輸送としてナトリウムポンプ、エンドサイトーシス、エクソサイトーシスを挙げた。
まとめると意外と少ないですね。
そうじゃな。しかしここで挙げたものをしっかり覚えておくだけで今後の生理学の理解が深まることになるのじゃ。
故に復習を怠らないようにするんじゃぞ。
わかりました!
それでは今日の講義は以上とする。
ありがとうございました!
最後に問題を解いておくのじゃぞ。
エネルギー(ATP)を必要とするのが能動輸送。必要としないのが受動輸送。
拡散、浸透、ろ過
ナトリウムポンプ、エンドサイトーシス、エクソサイトーシス