浸透圧

今日の生理学の授業全然わからなかったな。浸透圧(しんとうあつ)って結局何だったんだろう。

でも、きっとどうにかなるから今日は帰ってゲームしよう。

甘いぞ、セルの助!

ニ、ニュー子先生!

はっきり言っておく。浸透圧がわからないと生理学はかなりつまらんものになる。

そ、そうなんですか!?

今後お主が腎臓(じんぞう)の機能を学ぶときや浮腫(ふしゅ)の病態を学ぶ時に浸透圧の知識が必須になるのじゃ。

お主はよく解らないまま授業を受けたいと思うか?

そんなの嫌です。

そうじゃろ?

反対にいえば、浸透圧を理解できれば生理学は確実に楽しくなるのじゃ。

おぉ…!

それでは今日の講義を始める!心して聞くのじゃ!

よろしくお願いします!

その名は浸透圧

そもそも浸透(しんとう)とは何のことを言っているのかわかるか?

全くわかりません。

うむ。浸透とは、細胞における水分の移動方法を指す言葉なのじゃ。

移動方法?

そうじゃ。

細胞が生きるために水分量を調節するための移動方法という大まかな解釈で構わん。

By bite?

そして細胞が浸透を用いて水分を調節した結果、生じる圧力を浸透圧(しんとうあつ)と呼ぶのじゃ。

どうじゃ?少しわかったかの?

移動方法の名前ということ以外、全くわかりません。

よい。順番に解説していく。

浸透は水分の移動方法。浸透圧は移動の結果生じる圧力のこと

浸透圧とは

それでは具体的に浸透について解説していく。

お願いします。

まずはこの図を見るのじゃ。

By bite?

両側に水が入っている容器じゃな。

真ん中の点線は何ですか?

点線は半透膜じゃ。

半透膜?

前の講義を見返しおくのじゃな。しかし今は穴の開いた仕切りがあると理解してくれればよい。

半透膜の解説はここをタップすると開くぞい。

はい。

この容器の左側だけに大量の塩を入れたとしよう。

By bite?

左側の水に塩が入りました。

うむ。そして水は仕切りの穴を自由に通過できるが、塩は通過できないものとする。

By bite?

さて、ここでセルの助に質問じゃ。

何でしょうか?

この容器をしばらく放置しておいた場合、水や塩はどうなると思う?

By bite?

うーん…全然わかりません。

塩は移動できないから水だけがどっちかに移動するとかですか…?

正解じゃ!

ほへ?

水が移動するのは正解なのじゃ。

では塩がある方とない方、水はどちらに移動すると思う?

塩がない方ですか…?

惜しいの!正解は塩がある方に水が移動するのじゃ。

By bite?

…もしかして濃い方に水が引き寄せられたっていうことですか?

今日は冴えてるの!大正解じゃ!

えへへ。

セルの助が言ってくれた通りじゃが

穴の開いた仕切りで水の入った容器を分けた時に濃い方を薄めようと水が移動する現象が生じるのじゃ。

この現象を浸透と呼ぶのじゃ。ちなみに細胞の場合、仕切りは細胞膜になるということじゃな。

少しイメージできた気がします!

その調子じゃ。そして浸透で水が移動した結果、塩がない方は水が減ったじゃろ?

By bite?

減ってます。

この移動によって生じる両側の圧力差を浸透圧と呼んだのじゃ。

By bite?

浸透圧だけちょっとよくわかりません。

セルの助が生理学で授業を受ける範囲ではここまで細かく説明できる必要はない。

実際、生理学の授業では浸透と浸透圧の言葉は厳密に分けられず同じ意味で使われることが多いからの。

故に浸透と呼ばれる、濃い方を薄めようとする水分の移動ということを理解できれば十分じゃ。

最後に浸透はエネルギーを必要としない受動輸送(じゅどうゆそう)であるということもチェックしておくのじゃぞ。

わかりました!

浸透(浸透圧)は濃い方を薄めようとする水分の移動のこと。

浸透(浸透圧)は受動輸送。

さて今日の講義はここまでとする。

今日はこれだけですか?

浸透圧は高張、等張、低張という生理学を学ぶ上で避けては通れない解説があるのじゃ。

講義が長くなる故に2回に分けることにしたのじゃ。

なるほどです。

次の高張、等張、低張の話を理解するために問題を解いてしっかり復習しておくのじゃぞ。

わかりました!

By bite?

塩がある方

浸透(浸透圧)

エネルギー不要(受動輸送)