脂質二重層

ニュー子先生、助けてください。

どうしたのじゃ?セルの助や。

細胞膜が2重の構造になっているという話が全く理解できなかったんですよ。

うむ。基本的な内容に思えるが、実は生理学を理解する上で非常に大切な項目にじゃからの。

細胞膜の構造を理解できると今後お主が学ぶ内分泌(ホルモン)など、他の項目が理解しやすくなるのじゃ。

そうなんですね。

今日は細胞膜の特徴である脂質二重層について説明していく。

先に伝えておくが、講義が長くなってしまったために今日の講義では脂質二重層の概要について触れるだけじゃ。

正確な構造についてはまた次の講義を待つのじゃ。

わかりました!よろしくお願いします!

親水性と疎水性

解説の前に確認しておきたいのじゃが、親水性と疎水性の違いは理解しているか?

親水性が水に馴染みやすくて疎水性は水に馴染まないということかな…と。

うむ。概ねその通りじゃ。

(当たってた…?!)

ここではあまり深く考えずに親水性の物質は水に溶けやすく、疎水性の物質は水に溶けないという理解をしてくれればいい。

そして今日の講義では疎水性の物質として脂質に焦点を当てることとする。

はい!

疎水性の物質(脂質)は水に溶けない

細胞膜の主成分はリン脂質

それではここから本題に入っていこうぞ。

お願いします!

時にセルの助よ。前回の解説でほとんどの細胞が細胞外液という水分の中で生活していると解説したのは覚えているか?

は、はい!(やべ…)

少し怪しい気はするが進めるぞ。

例え話になるが、仮にセルの助の身体が親水性、水に溶ける身体だったとしよう。

その身体で水に飛び込んだらどうなると思う?

水に飛び込むセルの助

…身体が溶けてしまいます。

水に溶けるセルの助

その状態で動いたりできると思うか?

…できないと…思います。

その通りじゃ!

ほへ?

細胞を覆う細胞膜が親水性だった場合、細胞外液という水分の中で生きているほとんどの細胞が溶けてしまうことになる。

つまり生命活動を維持できなくなってしまうのじゃ。

だからこそ細胞膜は脂質という疎水性の物質でできているのじゃ!

水の中でも大丈夫なセルの助

おお!なるほどです!

ここまで理解できたら細胞膜はリン脂質という脂質を主成分にしているということも押さえておくのじゃ。

細胞膜の主成分は脂質(リン脂質)

細胞膜は脂質二重層

ここから少し例え話をしていく。

はい!

セルの助が2重扉の家に住んでいるとしよう。

寒い地域とかで見られる家ですよね。

その家にはある欠陥があった。なんとインターホンが内側の扉に設置されていたのじゃ。

そんな家に住んでいるセルの助がニャマゾンで買い物をしたとしよう。

両方の扉を閉ざした場合、お主は絶対に配達員さんに気付くことができない。そのような状況の中で確実に荷物を受け取りたい場合、お主ならどうする?

それってこういうことですよね?

届け物ができないの図

多分ですけど、配達員さんが来そうな時だけ外側の扉を開けっぱなしにすると思います。そうしたらインターホンも押せるし…。

絵にするとこんな感じです。

外扉を開いた図

そういうことじゃ!

おお!

脂質二重層を学ぶにあたって理解しておきたいのは外側の扉が開かれているということなのじゃ!

先程も言ったようにほとんどの細胞は細胞外液という水分の中で生活をしておる。

その生活において細胞膜を完全に外界と遮断してしまった場合

生命活動に必要な物質のやりとりができなくなったり、細胞外液(内部環境)の変化に気付けなくなってしまうのじゃ。

これがあまりよろしくないことはわかるじゃろ?

わ、わかります。

そこで細胞が生きていくために見出した方法が、細胞膜を二重にして膜の外側を開いておくことだったのじゃ。

故に細胞膜の外側は親水性になっておる。

外側が親水性になっているおかげで細胞外液(内部環境)の変化に気づくことができるのじゃ。

それに対して内側は疎水性になっておるというわけじゃ。

な、なるほどです。

このように1つの細胞膜が内側の疎水性、外側の親水性という2重構造になっていることから

脂質2重層と呼ばれておるのじゃ。

納得できました!

言い忘れたが親水性、疎水性どちらもリン脂質が形作ってくれているのじゃ。

リン脂質すごい。

細胞膜の外側は親水性、内側は疎水性。この構造が脂質二重層。

さて、長くなったが今日の講義は以上じゃ。

ありがとうございました!

最後に問題を解いておくのじゃぞ。

リン脂質

脂質二重層

親水性