ミトコンドリアの解説
さて今回の講義は前回説明しきれなかったミトコンドリアの詳細について説明していく。
お願いします!
ミトコンドリアは生命の神秘ともいえる存在なのじゃ。
え、そうなんですか?
なんとわしらとは別の生物なのじゃ。
別の生物...
遥か昔、それこそまだ人類が存在していなかった頃にわしらの祖先の細胞と共生するようになったと言われておる。
おお。
そんなミトコンドリアは信じられない程わしらのために働いてくれておる。
今日の講義を聞けばミトコンドリアへの敬意すら覚えるだろう。心して聞くように。
よろしくお願いします!
各部の名称
早速だが、ミトコンドリアの働きの話をする前に各部の名称を覚えてもらいたい。
どうしてですか?
ミトコンドリアの仕事がどこで行われているかイメージをしやすくするためじゃな。
はい。
ミトコンドリアで必ず覚えておくべきは4箇所じゃ。
4つだけでいいんですね。
イメージしやすくするためにミトコンドリアを色分けしたぞい。
カラフルです...
極端な方がわかりやすいのじゃ。
最初に覚えるべきは内膜と外膜じゃな。
図でいうと外側と内側の黄色とオレンジの部分じゃ。
外膜と内膜...
うむ。次はマトリックスと呼ばれる部分じゃな。
絵でいうと外膜と内膜の間の緑色の領域じゃ。
映画のタイトルみたいでかっこいいです!
古い映画を知っておるの。
最後に内膜が突き出した形になっているクリステじゃな。
図でいうと紫色の場所じゃ。
ミトコンドリアは変な名前が多いですね。
確かに変わった名前をしておるの。
このマトリックスやクリステの中で、この後説明するATPの産生などをしてくれているのじゃ。
大事な場所なんですね。
そういうことじゃ。
この4つを覚えておくだけでよい。
はい!
内膜、 外膜 マトリックス、クリステ
ATPの産生
それではミトコンドリアの働きについて説明していこう。
お願いします!
まずはATP(アデノシン三リン酸)の産生じゃ。
ATP?
ATPはヒトが動くために必ず必要になるエネルギーのことじゃ。
エネルギー...
そうじゃ。無くてはならないエネルギーを作ってくれておる。
そのATPはミトコンドリアの中にあるクエン酸回路(TCA回路)と電子伝達系と呼ばれる工場で作られておるのじゃ。
どちらの工場も酸素を用いてATPを作ってくれていることも押さえておくのじゃ。
はい!
ちなみにこの仕組みを解明したハンス・アドルフ・クレーブス博士とピーター・デニス・ミッチェル博士は
2人ともノーベル賞を受賞しておる。
すごい!
クエン酸回路はクレーブス博士にちなんでクレブス回路とも呼ばれておるから頭の片隅に置いておくのじゃ。
偉大な先人たちに感謝して勉強するんじゃぞ。
はい!
活動するためのエネルギー(ATP)を作っている
β酸化,脂質の代謝
続いてはβ酸化じゃな。これは脂質の代謝の言葉じゃ。
なんか難しい言葉ですね…。
安心するのじゃ。セルの助でも中性脂肪ぐらいは聞いたことあるじゃろ?
あります。むしろ最近太り気味なので嫌いな言葉です。
そうか。ミトコンドリアの中でATPという活動するためのエネルギーを作ってくれていると説明したじゃろ?
β酸化は中性脂肪などの脂質をクエン酸回路という工場のラインに乗せるために変化させることをいうのじゃ。
何となく理解できました。
具体的には脂質からアセチルCoAという物質を取り出すのじゃが詳しくはまた後日に説明をする。
現時点ではβ酸化は脂肪からエネルギーを作るための下準備ということだけ覚えておけばよい。
はい!
脂質からエネルギー(ATP)を作るための下準備(β酸化)もしてくれている。
尿素回路-アンモニアを尿素へ
セルの助はアンモニアと聞いたらどんなイメージをするかの?
臭いやつですよね?おしっこに入ってるやつ。
その通りじゃ。
アンモニアはヒトが生きていくために必要なたんぱく質を体内で変化(代謝)させる過程で必ず発生する物質なのじゃ。
しかしアンモニアは溜まると身体に悪い影響を及ぼす。
故に、ヒトはアンモニアを尿素に変えて尿と一緒に捨てているじゃ。
そのアンモニアから尿素への変換をミトコンドリアがやってくれているのじゃ。
ミトコンドリアは働き者ですね...。
そうじゃろ。
尿素も作っている(尿素回路)
ヘム合成系
さて今日の講義の最後じゃ。
お願いします!
ヒトの血はなんで赤いか知っておるか?
ご先祖がトマトジュース飲みすぎたからですか?
そんなわけないじゃろ。
赤血球という細胞成分が鉄分を含んでいて、それが酸素と結合するから赤く見えるのじゃ。
赤血球!聞いたことがあります!
ならばよい。さて、その赤血球の中にある鉄分を含んだたんぱく質をヘムというのじゃが
ミトコンドリアはこのヘムを作ってくれておるのじゃ。
ミトコンドリア、本当に凄いですね!
そうじゃろ。
ヘムも作っている(ヘム合成)
さて長くなったがまとめじゃな。
今日の講義ではミトコンドリアの主な仕事4つをまとめた。
- 1.ATP産生
- 2:β酸化
- 3: 尿素回路
- 4:ヘム合成系
テストではミトコンドリアの仕事について聞かれることが多いからの。よく覚えておくように。
はい!
今日の講義は以上じゃ。
ありがとうございました!
最後に問題を解いておくのじゃぞ。
ATP(アデノシン三リン酸)
クエン酸回路(TCA回路)と電子伝達系
β酸化
尿素産生(尿素回路),ヘム合成